PIC(ピック:Peripheral Interface Controller)とは演算処理回路、メモリ回路、入出力回路などが1つのICに組み込まれたマイクロプロセッサです。メモリにプログラムを書き込むことにより入出力回路を通していろいろな動作をする回路を組むことができます。本書では、Microchip社から販売されているPIC16F84AおよびPIC16F873を使用した電子工作を紹介します。本書は先に出版した「PICで遊ぶ電子回路工作入門」の続編という位置づけで工作事例を中心に記載しており、PICの使い方についての詳細は解説していません。PICのソフトウェアの作成方法などについては「PICで遊ぶ電子回路工作入門」をご覧ください。
また、本書にはPIC以外にCPLD(Complex Programmable Logic Device)という部品を使用した工作事例が含まれています。CPLDはインバータ回路、NAND回路やレジスタ回路などの論理回路の組み合わせをプログラム言語で指定するとCPLDの中でその機能が実現することができるデバイスです。CPLDを使用することにより回路をコンパクトに組むことができます。本書で使用しているCPLDはXilinx社(ザイリンクス社)のXC9500シリーズを使用しています。CPLDにはいろいろな種類のものがありますが、上記のデバイスはPLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)というソケットを使用して0.1インチ間隔で部品取り付け穴が開けられているユニバーサルプリント基板に搭載することができるので、手軽に行う電子工作には適しています。CPLDの使い方については本書で解説をしています。
本書で紹介している電子回路とまったく同じ物を作成することはないかもしれませんが、読者の方が作ろうとしている電子回路に本書で紹介している回路の一部が参考になれば幸いです。
この本の内容はインターネットで公開している私のホームページ「趣味の電子回路工作」でも見ることができます。
http://www.hobby-elec.org/
インターネットの場合、主に以下のような利点があります。
☆ インターネット端末があればどこからでも見ることができる。
☆ リンク機能により関連したページに切り替えられる。
☆ 動画を使った説明ができる。
☆ 内容の更新がすぐにできる。
☆ 誰でも手軽に情報公開ができる。
一方、書籍の場合は以下のような利点があります。
☆ 購入すれば、いつでも、好きな時間にすぐに見ることができる。
☆ ページをパラパラめくりながら見たいところを探せる。
☆ 全体を保存しておくことができる。
☆ 持ち運びができ、すぐに見られる。
☆ ホームページは閉鎖することもある。
ということで、内容はほぼインターネットのものと同じですが、本の利点を考え、本書を作ることにしました。
電子回路に関する多くの本は一般知識を先に説明して、最後に応用として事例を紹介するという構成ですが、本書では、まず、作ってみるという観点で、事例を先頭にし、それらを作るための基礎知識、方法などを後にしています。何を作りたいか(目的)を先に決め、それに必要な知識を後から泥縄式に身につけるということになります。
目的が分からない一般知識は身に付かないというのが私の信条です。
読者の方の参考になれば非常に嬉しいです。
平成14年3月
井上 誠一 |