電子回路は技術の進歩とともに部品のLSI化が図られ、小型、軽量、低消費電力なものになっています。逆に言うと手作りが難しくなってきたとも言えます。頭の中で考えるだけでなく、実際に作って動作を実感することも大事ではないかと思います。
この本は「電気関係に興味はあるけど、よく分からない」という人のために書きました。実際に回路を作り、その回路を材料に回路動作を理解することにより、電子回路が身近なものになればと思います。
電子回路を本格的に理解するためには電気、電子工学はもちろんのこと、物理学、数学、さらには情報工学、心理学?などなどの知識が必要です。でもこの本では面倒なことはあまり説明していません。この本で興味を持って、もっと詳しく知りたいと思ったら、その関係の専門書を読んで下さい。
この本の内容はインターネットで公開している私のホームページ「趣味の電子回路工作」でも見ることができます。
http://www.hobby-elec.org/
インターネットの場合、主に以下のような利点があります。
☆ インターネット端末があればどこからでも見ることができる。
☆ リンク機能により関連したページに切り替えられる。
☆ 動画を使った説明ができる。
☆ 内容の更新がすぐにできる。
☆ 誰でも手軽に情報公開ができる。
一方、書籍の場合は以下のような利点があります。
☆ 購入すれば、いつでも、好きな時間にすぐに見ることができる。
☆ ページをパラパラめくりながら見たいところを探せる。
☆ 全体を保存しておくことができる。
☆ 持ち運びができ、すぐに見られる。
☆ ホームページは閉鎖することもある。
ということで、内容はほぼインターネットのものと同じですが、本の利点を考え、本書を作ることにしました。
電子回路に関する多くの本は一般知識を先に説明して、最後に応用として事例を紹介するという構成ですが、本書では、まず、作ってみるという観点で、事例を先頭にし、それらを作るための基礎知識、方法、道具類を後にしています。何を作りたいか(目的)を先に決め、それに必要な知識を後から泥縄式に身につけるということになります。
目的が分からない一般知識は身に付かないと言うのが私の信条です。
読者の方の参考になれば非常に嬉しいです。
平成13年5月
井上 誠一 |